近視

目に入っていく光というのは、角膜や水晶体で屈折し、網膜上で結ばれることで焦点(ピント)が合うようになって、物がしっかり見えるようになります。これを正視といいます。

ただ何らかの原因によって、網膜上に焦点が合わなくなることがあります。例えば、網膜よりも前で焦点が合うとなれば、遠くの距離を見るのにピントを合わすことができずにぼやけて見えるようになります。この状態が近視と呼ばれる状態で、屈折異常のひとつです。

近視の原因は大きく2つあります。ひとつは軸性近視と呼ばれるものです。これは眼軸長(角膜の頂点から網膜までの長さ)が正常とされる長さよりも長いことで、網膜上に焦点が合わなくなっている状態です。ちなみに眼軸長は成長に伴って伸びていきます。赤ちゃんの頃は眼軸長が短いので遠視になっていることが多いですが、眼軸が伸びていくことで徐々に解消されるようになります。なお眼軸長が必要以上に長くなる原因としては、遺伝的要因が関係しているのではないかといわれています。ちなみに近視の多くは軸性近視によるものとされ、重度の近視も起きやすいです。

もうひとつの近視の原因とされているのが、屈折性近視です。これは角膜や水晶体の屈折力が大きいことで、網膜上よりも前にピントが合うようになってしまいます。なお近くの距離のものを見続けることで毛様体筋が緊張し、近視状態になることがあります。これを偽近視と呼びます。この場合は、抗コリン薬の点眼を使用するなどすれば、緊張は解消されるようになります。

また近視は、大きく単純近視と病的近視に分かれます。前者であれば、遺伝的要因や環境的な要因(スマホ、読書 等)によって起きるとされるものです。一方の後者は、眼軸長が異常に長くなっている状態で、網膜や脈絡膜の変性によって器質的な障害が起き、何かしらの視機能障害がみられている状態です。

昨今のこどもの近視有病率は、近見作業の増加に伴い、小学生で76.5%、中学生で94.9%と驚くべき数字になっています。

治療について

単純近視であれば、外から入ってきた光が網膜上でしっかり結ばれるように矯正レンズ(凹レンズ)の眼鏡をかけるなどします。これによって遠くの距離も見えやすくしていきます。

一方の病的近視については、現時点で治療法は確立しておりません。放置が続けば、網膜剥離や眼底出血などの発症リスクもあるので、しっかり予防対策を行っていきます。それでも上記の症状が起きたとなれば、手術療法などが検討されます。

オルソケラトロジー

主に近視を矯正するための治療法です。これは就寝中に特殊なコンタクトレンズを装用し、それによって角膜の形状を変化させることで、近視を矯正していきます。イメージとしては、マウスピースによる歯列矯正に近いです。日中の活動時は、目には何も装用していない状態となりますが、矯正効果は維持されたままとなります。

この矯正方法は、角膜が比較的やわらかく、睡眠時間も多くとれる小学生~高校生くらいの年代向きとされ、とくに小児の近視進行抑制効果が期待できます。年齢制限はありませんが、強い近視である、睡眠時間を多くとるのが困難といった場合は不向きとされています。

使用するレンズは、ご自身の角膜と比較して曲率半径が大きいハードタイプのコンタクトレンズになります。同レンズを装用して眠りにつくことで、角膜の形状は変化(扁平化)していきますが、毎日就寝中は装用する必要があります。

オルソケラトロジーによる利点につきましては、日中は裸眼での生活が可能なので不便さを感じることはありません。またレーシックのような手術療法と異なり、角膜を削るなどすることなく近視を改善することができるということがあります。また治療を途中で止めたいとなれば、レンズの装用をしなくなるだけで、角膜の形状は2週間程度で元に戻るようになります。

その一方で、ハードコンタクトレンズを毎日装用することになります。したがって、レンズのメンテナンスが不十分、あるいは装用方法が正しくないとなれば、何らかの感染症に罹患する、目に障害が起きるというリスクがあります。このような状態にならないためにも、レンズをしっかり管理し、正しい装用方法を学びます。さらに定期的に眼科検診を受けられることも大切です。ちなみにオルソケラトロジーによる矯正治療は、全ての患者様に有効とは限りません。

治療の開始にあたって

同治療法を希望される場合、まず適性検査を行います。内容としては、視力検査や角膜の形状の測定を行うほか、これまでに何らかの眼疾患に罹患していたか等も調べていきます。

その結果、オルソケラトロジーの治療をすることに問題ないとなれば、各々の患者様に合うとされるレンズを選び出します。その後は、付け心地なども確かめるテストレンズ期間を経て、患者様ご自身の専用レンズを作成し、それを就寝中に装用することで治療の開始となります。なお治療期間中は、一定の間隔で通院します。開始間もない頃は1週間に1回のペースですが、その後は月1回となり、最終的には3ヵ月に1回の割合となります。

眼鏡・コンタクト処方

当院では、屈折異常(近視・遠視・乱視)のある患者様に対して、眼鏡もしくはコンタクトレンズによる屈折矯正を行っています。

なお屈折矯正を行うにあたっては、まずは近視等の原因が別の眼疾患によるものでないかどうかの検査をいたします。その結果、視力低下等の原因が屈折異常であると判明すれば、屈折矯正のための検査を行います。屈折矯正による検査で、最適とされる度数のレンズが決まると検査は終了です。検査後は、最適な度数が記録された処方箋をお渡ししますので、それを持参して、眼鏡量販店にてご購入ください。

眼鏡処方

屈折異常の患者様の中で、最も多くの方々が利用されている屈折矯正です。鼻パッドに鼻をあて、フレームを耳にかけることで装用となります。矯正視力検査によって、次々とレンズを交換していき、一番視力が出るとされるレンズの度数を選び出すことで、屈折度数がわかるようになります。なお近視であれば凹レンズ、遠視であれば凸レンズ、乱視では円柱レンズが用いられます。

眼鏡は、ほかの視力矯正と比べて、安価で使いやすく、合併症のリスクも少ないということがあります。さらに多くの屈折矯正に対応できるのも利点ですが、不正乱視や強度な屈折異常にある患者様には不向きとされています。

コンタクトレンズ処方

眼鏡と同様に視力矯正によって用いられます。同レンズは、眼鏡をかけることによる見た目の変化が気になる、スポーツ等で激しい動きをするという方が選択されます。レンズの種類は2種類(ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ)ありますが、両方ともに近視、遠視、乱視(正乱視)に対応します。

装用方法ですが、角膜の上に直接レンズを置くようになります。使い方が正しくないと、角膜を傷つける、細菌に感染するなどして、眼疾患等を発症するリスクもあることなどから高度管理医療機器となっています。ちなみにコンタクトレンズを選択される方は、まず装用検査を行います。問題がなければ、検査用のレンズを装用した状態で、視力検査となります。同検査で最適とされるレンズの度数を決めていきます。

なおコンタクトレンズを希望されても、小学生のお子様、結膜炎や重度なドライアイ等の眼疾患のある患者様、同レンズを正しく装用するのが困難な方、レンズのケアを怠りがちな方などについては、お断りすることもあります。あらかじめご了承ください。

2種類(ハード、ソフト)のコンタクトレンズのそれぞれの特徴

先にも述べましたが購入時の際に選択する2種類のコンタクトレンズの特徴は次の通りです。

ハードコンタクトレンズ

その名の通り、硬いプラスチックの素材が用いられています。長期間の使用が想定されており、耐久性も高いです。レンズの大きさは角膜より一回り小さいです。装用してしばらくは違和感がありながらの使用で、落ちやすくて、ズレやすいということもあります。利点としては、目に何か異常があった場合に気づきやすい、度数が高くても使用可能、不正乱視も矯正できるということがあります。

ソフトコンタクトレンズ

素材に水分が含まれているので、軟らかい仕様になっています。レンズのサイズは角膜を覆うほどの大きさです。利点としては、装用しても馴染みやすい、脱落やズレが起きにくいのでスポーツをする人向きというのがあります。さらに長期間使用のタイプだけでなく、1日限定の使い捨て、2週間程度の短期間の使用を想定したレンズなどの選択も可能です。デメリットとしては、目に異常が起きた時に気づきにくい、長時間の使用は乾燥しやすい、耐久性がハードと比べると少し劣るというのがあります。